心の鍵はここにある
「春奈ちゃん、ありがとう。おかげで早く準備できたよ。では、あちらの片付けに行きますので失礼します」
私はそそくさとこの場から退散した。
第二会議室を出てすぐに隣の第一会議室へ入ると、ちょうど最後に退室しようとしていた企画部の赤松さんがいた。
「ああ、五十嵐さんお疲れさま」
赤松さんは私の一年先輩で、ショートカットがよく似合う、カッコいいお姉さんだ。
企画部は男性ばかりだけど、その中でも男性と対等に渡り合える実力のある人で、実は密かに憧れている。
赤松さんのように、私もはっきりと意思表示ができたなら、ストレスなんて溜まらないだろう。
無い物ねだりをしても仕方ない。
「赤松さん、お疲れさまです」
会釈をして、会議室の片付けをしようと室内を見渡した。
室内はゴミもなく、机の上は綺麗な状態だった。
「え、もしかして、片付けして下さったんですか?」
会議室を出て行こうとした赤松さんの背中に声をかけて呼び止めた。
「ああ、うん。今日の会議のお茶はペットボトルにしておいたの。みんなに持ち帰らせたから、ゴミは出てないよ?」
「わぁ、ありがとうございます。かなり助かります」
後はテーブルを拭くだけで済むなんて、本当に助かる。
「いやいや、いつも総務部さんに会議室の準備をしてもらって助かるのはこっちだから。こちらこそありがとう」
赤松さんはそう言って、足早に去って行った。
私も、台拭きを取りに給湯室へ向かう。
* * *
第一会議室の片付けも終わり、総務部の自分の席に戻って、いつもの雑務をこなし定時を迎えた。
更衣室で事務服から私服に着替え、スマホを取り出すと、一通のメールと、不在着信があった。
両方とも実家に住む母からのもので、メールを読んでから電話をかけようと思っていたところ、内容が内容だけに、びっくりし過ぎて折り返しの電話ができなかった。
そして、メールの内容に動揺していた私は、更衣室前で待ち伏せされていた藤岡主任と春奈ちゃんに拉致られるように連れ出されてしまったのだった。
私はそそくさとこの場から退散した。
第二会議室を出てすぐに隣の第一会議室へ入ると、ちょうど最後に退室しようとしていた企画部の赤松さんがいた。
「ああ、五十嵐さんお疲れさま」
赤松さんは私の一年先輩で、ショートカットがよく似合う、カッコいいお姉さんだ。
企画部は男性ばかりだけど、その中でも男性と対等に渡り合える実力のある人で、実は密かに憧れている。
赤松さんのように、私もはっきりと意思表示ができたなら、ストレスなんて溜まらないだろう。
無い物ねだりをしても仕方ない。
「赤松さん、お疲れさまです」
会釈をして、会議室の片付けをしようと室内を見渡した。
室内はゴミもなく、机の上は綺麗な状態だった。
「え、もしかして、片付けして下さったんですか?」
会議室を出て行こうとした赤松さんの背中に声をかけて呼び止めた。
「ああ、うん。今日の会議のお茶はペットボトルにしておいたの。みんなに持ち帰らせたから、ゴミは出てないよ?」
「わぁ、ありがとうございます。かなり助かります」
後はテーブルを拭くだけで済むなんて、本当に助かる。
「いやいや、いつも総務部さんに会議室の準備をしてもらって助かるのはこっちだから。こちらこそありがとう」
赤松さんはそう言って、足早に去って行った。
私も、台拭きを取りに給湯室へ向かう。
* * *
第一会議室の片付けも終わり、総務部の自分の席に戻って、いつもの雑務をこなし定時を迎えた。
更衣室で事務服から私服に着替え、スマホを取り出すと、一通のメールと、不在着信があった。
両方とも実家に住む母からのもので、メールを読んでから電話をかけようと思っていたところ、内容が内容だけに、びっくりし過ぎて折り返しの電話ができなかった。
そして、メールの内容に動揺していた私は、更衣室前で待ち伏せされていた藤岡主任と春奈ちゃんに拉致られるように連れ出されてしまったのだった。