あの夏、君と。〜もう一度笑って〜
「わ、すご」
鏡を改めて見る。
今どきって感じ。
エミコの助言と紗夜のテクニックで、僕は芋臭い男から今どき風な男になれた。
「夏休み明けから学校、それで行ってよね!」
「え……。これ……?」
「これなら紗夜のお兄ちゃんって言っても恥ずかしくないしね!」
「紗夜は、中学校だろ、校舎内で会うことないじゃん……」
「何言ってるの!どこで会うか分からないんだから!芋臭いお兄ちゃんとかやだ!」
「えー、でも」と言うと同時に、クッションが僕の顔面にクリーンヒット。
「それで行ってよね!いい?わかった?髪出来ないなら紗夜がやってあげるから。」
威圧的な妹の態度に「はい……」としか言いようがなかった。
満足したのか、紗夜は自室に戻り、
僕はコンタクトを外し、シャワーをしに行く。
あ、髪のやり方聞いとけばよかったな。
そんなこと考えながら、シャワーをし、
自室の窓を開けた。
「〜♪」
??ん??
21:35。こんな時間に誰が???
でも聴いてて心地よい歌声だ。
何かを探すような。もう諦めているような。
綺麗だけどどこか寂しげ。
明日、海に行こう。
エミコに会えたら、明後日の約束を断ろう。
話せばわかってくれるはず。
そう考えながら、眠りについた。