あの夏、君と。〜もう一度笑って〜
朝起きて、準備して10時には海に向かった。
エミコ、いるかな。
砂浜をゆっくりと歩いた。
昨日いたところと同じ場所でエミコを見つけた
「エミコ!」
僕の声に反応して、エミコがパッと振り返る!
「エミコ!ごめん!明日、じいちゃんの49日で約束を守れそうになかったから、もし今日会えたらと思って……!!!!」
「そうだったのね、翔、似合ってるわ!コンタクトにしたのね!」
エミコはフッと微笑んで、風になびく髪を抑えた。
「紗夜、妹に入れ方教えて貰ってやったんだ!髪はちょっと出来なかったけど」
「いいと思う!かっこいいよ?すごく」
かっこいい……。生まれて初めて言われた!
ちょっと照れくさくなった僕は、俯いた。
そんな僕を、エミコは
「照れてるの?」っていたずらっ子のような顔で覗き込んでくる。
「し、仕方ないだろ!初めて……言われたから……」
ごにょごにょと話す僕に、エミコは嬉しそうな顔で、何度も何度も「かっこいいよ!」とからかい半分で繰り返した。
「ねぇ!翔!」
「ん?」
「この村を案内してあげるよ!時間あるでしょ??」
「え、うん、確かにまだこの村のこと全然知らないや」
「行こ!」
エミコは、僕の先をずんずん歩いていく。
海から離れて、20分くらい歩いた。
「ここが商店街ね!あそこの果物屋さんすっごく美味しいんだから!」
エミコが指さす先には果物屋。
「エミコちゃ〜ん!」
果物屋の店主らしき人がエミコを呼びながら手招きする。
「島田のおばあちゃん!おはよう!」
エミコは店主の島田さんに笑顔で駆け寄る。
見た目的に、70歳くらいのおばあちゃん。
「これ、持ってきぃ。傷もんだけど味はうめぇから」
「いいの?毎回ありがとう!あ!島田のおばあちゃん、こちら、竹中 翔!最近この村に引っ越してきたんだって!」
エミコは、島田のおばあちゃんから果物の入った袋を受け取りながら、サラッと僕の紹介をした。
「ええ、よろしくなぁ。翔君」
しわしわの手を差し出して握手を求めてきた。
「よろしく……お願いします!」
その手を僕は両手でしっかり握り返した。