あの夏、君と。〜もう一度笑って〜
その後、商店街を後にし、近くの公園でさっき貰った果物を食べることにした。
「いい人でしょ?島田のおばあちゃん」
エミコが僕にデコポンらしき果物を渡しながら尋ねてくる。
「うん、優しそうな人だね」
その果物は甘酸っぱくて。
「旦那さんに先立たれて、もう10年なんだって。気になっちゃって商店街行った時は、毎回話しかけるようにしてるの」
あ……。同じ目だ。
出会った時と、同じ虚ろで寂しげな目。
「優しいんだね!エミコは!僕も商店街行った時は声かけるよ!」
黙っていたら、どこか遠くへ行ってしまいそうな。
そのままもくもくと果物を食べた。
「食べ終わった??次行くよ!」
エミコは、いつものエミコに戻っていて、
僕は残りの果物を頬張った。
その後、1.2時間くらい村の中を歩き回ったおかげでだいたいのとこを知ることが出来た。
揺れるエミコの綺麗な黒髪が、僕の心をくすぐる。
これは……憧れ……???
恋を知らない僕にはまだ早かった。
2週間後ーーーー。
夏休みが明け、僕と妹の紗夜は新しい学校に足を向かわせた。