あの夏、君と。〜もう一度笑って〜
予鈴がなり、5時限目がスタートした。
キーンコーンカーンコーン……
初登校1日目が終了。
「じゃ、また明日な!翔!」
「明日ね〜!竹中君!」
ゆきとみちるが帰っていく。
「うん!また明日!」
僕もそれに答えた。
校舎を出る前に、フラッと保健室を立ち寄った。
ドアに手をかけ、開けようとした時……
「……んん、……あっ……!イくっ……!」
艶めかしい声が聞こえた。
え?なにこれ……。
タイミング悪かったのかな……。そう思い、帰ろうとした時。
「何してるの?」
後ろから声が。
振り返るとエミコがいた。
「え、エミコ……いるかな……と思って……」
やましい事は何も無いけど、びっくりしすぎて心臓が口から飛び出るかと思った。
「はぁ……。ほんと盛のついたガキは嫌だわ……。」
心底嫌そうな顔でため息をついたエミコ。
「ご、ごめん……。」
「??なんで翔が謝ってるのよ?」
エミコはそう言うとガラッと保健室のドアを開け、
「何やってるの。ここはラブホでもなんでもないんだけど。」
「……きゃ!」
「うわ!やべ……!!!」
男女2人組はエミコの顔すら見ずにバタバタと走って保健室から出ていった。
あ……。性行為……してたんだ……。
「……汚したシーツくらい直してけってね……」
ため息をつきながら、エミコはシーツを外し、新しいシーツをベッドに掛けた。
初めての光景、と言うか、声に僕はまだドキドキが止まらなかった。
そんな僕をチラッとみたエミコは一言。
「……フフッ……童貞……!」
「……どっ……!!!」
恥ずかしさのあまり僕の顔は真っ赤だった。
「ぼ、僕だって、いつかは……!」
カチャン。
保健室のドアの鍵をエミコが閉めた。
??なんで??
「へぇ??僕だっていつかは、童貞を卒業する……?」
不敵な笑みを浮かべたエミコ。
白衣を脱ぎ、椅子に無造作に掛けた。
僕はエミコから目を話せなくなり、肩からカバンが滑り落ちた。
そして、ゆっくりとベッドに追いやられた。
エミコの色白で透き通るような細い腕はゆっくりと伸びてくる。
ドサッ。
……え??
もう頭の中は真っ白。
気づくと僕はベッドの上。
僕の上にはエミコ。
えっと……えーーっと……。
回らない頭で必死に考える。
大人の色気をまとったエミコが、僕の上にまたがり、僕を見下ろしていた。
「エミコ……エミコ先生……!どうしたんですか……!」
パニックで敬語になる僕。
僕のワイシャツのボタンをプチプチと外していくエミコ。
ぼ、僕は、転校初日で、えっと、エミコが保健室の先生……。
もう何も考えられなくなっていた。