あの夏、君と。〜もう一度笑って〜


ヒョロっヒョロな身体を隠しながら、ゆきと海に入る。


この海で、エミコと出会ったんだ。


今、エミコは何をしてるんだろうかー。


僕の頭はエミコでいっぱいだった。



「ねえ、ゆき。」

「ん?なんだよ」


海辺でちょっとサボりつつ、ゆきと他愛ない会話をした。


「好きな人……いる?」

「好きなヒト?」

ゆきはポカンとした顔。

これは好きとかなんですかそれって感じか。


「んー、好きな人……。俺、ずっとみちる好きなんだよな!」

ん!?!?

「えっと……山梨 みちる……?」


「そ!お前の隣の席のな!ずーーーっと幼なじみでさ、こないだ一緒に帰った時に、『今日、告られた!隣のクラスの人に!』って報告されて、内心すげー焦ってたんだよ。盗られる!って思って」


ゆきは少し恥ずかしそうにヘヘッと笑った。


「だから、みちるが好きだ!って気づいたのはつい最近!」

「……ゆきから告られて嫌な気持ちになるやつはいないと思うよ」

そう一言だけ言っておいた。

「そうか?あいつはどーだろーな!」

と言って、「ちょっと泳いでくる!」と言って、ゆきはみちるの元へ行った。


遠目から見ても、あの二人はお似合いだと思う。


「みちる!泳ごうぜ!」

後ろから抱きつくゆきにみちるは嬉しそうに。

あれが幼なじみの距離なのかな




エミコが、他の人に盗られる……。そんなの……。


耐えられるわけが無い……。



僕の中にモヤモヤした感情とエミコが他の人の物になるのは嫌だと言う感情が渦巻く。
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