極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
テーブルからは美味しそうな匂いがしてくるものの、食欲が湧かない。

一方の柴乃ちゃんもフォークを手に取ったまま料理には手を付けず、小声でぼそっと告げた。


「これは、私の経験なんだけど」

「経験?」

「実は、私もあるのよ。一夜の過ちってやつ」

「そうなの⁉」

「あっ、内緒ね」

「う、うん」


私が頷くと、柴乃ちゃんは淡々と語り始める。


「大学の頃だったかな。同じサークルの先輩とふたりで食事に行ったら、なんかいい雰囲気になって。そのままホテルへ行っちゃったんだよね。で、次の日。冷静になってお互いものすごーく後悔したんだよね」

「後悔?」

「そのあとが気まずいのよ。お互いに恋愛感情があったわけでもなかったから、そこから付き合う展開にはならなくて。そのあとは自然とお互いに距離を取るようになって、それっきり先輩が卒業するまで一度も話をしなかったなぁ」

「そ、そうなんだ……」


柴乃ちゃんの言葉がずんと胸に重たく響く。

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