極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「縁を切りたいのならご自由にどうぞ。それでうちの会社が困ることは何もない」


千紘さんの表情はいつも通り穏やかなのに、その口調はどこかトゲがあるように鋭い。相手に対して、こんなにも冷たい態度を取る彼を見るのは初めてかもしれない。


「あなたに何を言われようと、俺は自分の気持ちを変えません。彼女と結婚します」


はっきりとそう告げる千紘さんの横顔を私はじっと見つめる。


「森園社長。話はそれだけなら、どうぞお引き取りください」


千紘さんの言葉に森園社長は苦々しい顔つきで席を立つ。

まだ何か言いたそうにしているものの、これ以上はもう取り合わないといった様子の千紘さんに諦めたようだ。

そのまま私たちに視線を合わせずに森園社長は応接室を後にした。


「大丈夫?」


ふたりきりになると、千紘さんが気遣うように優しく声を掛けてくれたので、「はい」と私は頷いた。

でも、今は私なんかよりも心配なことがある。
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