極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
どうしよう、どうしよう……。

焦っていると、じっと私を見つめたままだった千紘社長の表情がどこか困ったように笑った。


「……ダメだな。今この状況で、君にそんなことをされると、さすがの俺ももう我慢が効かない」


そう告げた彼の顔が不意に傾き、そのまま私へゆっくりと近づいてくる。

さきほどの言葉の意味も、この行動の意味も分からないまま、私はじっと固まってしまう。そうしている間にも千紘社長の顔が私のすぐ目の前まで迫り、思わずきゅっと目を閉じた。

すると……。


「ごめん」


そんな言葉が聞こえて、私は閉じていた目をゆっくりと開ける。

千紘社長がハッと我に返るような表情になり、慌てたように私から顔をそらした。

掴まれていた手首も解放され、彼は素早く私へ背中を向けると、そのままイスに腰を下ろす。そのまま何事もなかったように仕事を始めてしまった。

< 59 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop