モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
「……そんなに驚くことか?」
「だってそんな素振りひとつも見せなかったじゃない! てっきり私がシピに似てるから、その延長で猫好きのレジスが私に懐きだしたとばかり……」
「懐くってなんだ。エミリーの取り巻きをやめてからのフィーナは猫みたいで、俺には気になる存在だったんだ」

 結局猫の要素があるんじゃない、と突っ込みたくなったがやめておく。

「フィーナが獣化のことを隠しているうちは、俺も知らないふりをしていようと思った。……そのせいで、フィーナに大きな誤解をさせてしまった」

 レジスは眉間にしわを寄せ、悔しそうに唇を噛み締めた。

「レジスは悪くないわ! 私がレジスじゃなくエミリーの言うことを信じたから……。レジスは私のことをいつも考えてくれていたのに、ひどいことを言って本当にごめんなさい」

 あのとき、レジスの話を聞こうともしなかった自分を恥じた。
 結局私は、エミリーにとって扱いやすい駒に成り下がっていたのだ。

 ――レジスを傷つけた。

 いくら謝っても、その事実は消えない。泣きそうになる私を見て、レジスはそっと私の頬に手を添えた。

「それでもフィーナは約束を守ってくれた。それだけで、俺は十分だ」

 レジスの右手がスッと上に移動し、耳の上につけられた髪飾りを撫でる。

「……レジスも、約束守ってくれてありがとう。信じてた。パーティーに来てくれるって」
「当たり前だ。少し……いや、だいぶ遅刻してしまったが」

 申し訳なさそうに、人差し指で自分の頬を掻きながらレジスは言った。
 私はというと……遅刻なんかよりもレジスの手のぬくもりが消えたことに不満を感じていた。

「あ、ねぇレジス、どうして庶民のふりをしていたの?」
「ああ。それは……父からの命令だったんだ。俺にもいろいろ理由があってな。……今回のことで正体をバラすことになったけど、それは許してもらった。理事長と校長、同じく王族のマティアスは、最初から俺が王子だということを知っていたけどな」

 だからマティアスは、開口一番にレジスを〝王子〟と呼んでいたのか。

「やはりまだ、俺が王子だとは信じられないか?」

 そう言われ、正装姿のレジスを改めてまじまじと見つめる。

「……今日のレジスを見たら、どこからどう見ても王子様にしか見えないわ。今までどうして気づかなかったのかが不思議なくらい」

 先入観だけでレジスが庶民だとすっかり騙されていたが、こうして見るとマティアスよりも王子感が強いかもしれない。
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