モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
 最後にふふっと照れ笑いしながら、私はレジスの大きな手のひらに自分の手を乗せた。
 レジスは私の顔と手を交互に見て、うれしそうに微笑む。
 そのまま私の手の甲に唇を寄せると、ちゅっと音を立ててキスをした。

「……っ!」

 唇が触れた瞬間、手の甲から全身に熱が広がっていくような感覚に陥った。

 ――レジスがこんなキザなことをするなんて! 
 
 目を伏せてキスをするレジスの表情があまりにも美しくて、私は息を呑んだ。

 レジスは私の手をぎゅっと握り立ち上がると、空いた片方の手で私を抱き寄せた。

「よかった。今回は過去形じゃなくて」

 耳元で、レジスが笑いまじりに言う。

「うっ。それは、その……本当に悪かったと思ってるわ」

 食堂での一件を掘り返されると、私は謝ることしかできない。レジスはそんな私を見て、楽しそうに小さく笑った。

「もしフィーナがオーケーしてくれなかったら、援助の交換条件として、強制的に俺の婚約者にさせるところだった」

 サラリと爆弾発言をするレジスに、私はぎょっとする。

「それって、やってることがエミリーと大して変わらないと思うんだけど」
「俺は婚約者になったからって身の回りの世話をさせたりしないぞ」
「そういう問題じゃないんだけどなぁ……」

 大真面目に言い返してくるレジスに苦笑する。でも、たとえそうなっていたとしても、私はなんだかんだレジスの婚約者になることを受け入れてた気がする。なんか悔しい。

 レジスの腕の中で、勝手に頬を膨らませていると、突然握られていた手が解かれる。
 その手は私の背中に回り、さらに強い力でレジスに思い切り抱きしめられた。

 胸元に顔を埋めると、レジスの心音が聞こえる。だんだんと早くなる鼓動。レジスも私と同じように緊張しているんだと思うと、愛しくてたまらなくなった。

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