モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
 すぐに体を起こそうとするも、レジスの腕がそれを阻止する。背中に腕を回されて、レジスに覆いかぶさったまま体を固定された。

「……初めてシピに会ったとき、こんな感じだったな」

 私が寝ているレジスに獣化してこっそり近づいて、寝顔を覗き込んだときの話だ。

「フィーナ、あのとき俺の寝込みを襲おうとしたんだろ」
「ち、ちがうわ! レジスの寝顔がちょっとだけ気になっただけだもの!」
「ふっ。そんなの、これからいくらでも近くで見せてやる」

 あきれたようにレジスは笑った。
 寝顔だけじゃない。今みたいに、いろんな表情のレジスをこれから隣で見られるんだ。

「レジスが望むなら、たまにはまたシピの姿でここに会いに来てもいいけど?」
「……どうせ寝込みを襲われるなら、フィーナのままのほうがいいな」
「もうっ! そんな意地悪言うなら、もうシピに会うのはお預け!」

 ふいっと顔を背けると、レジスに人差し指で頬を突かれた。

「怒るなよフィーナ。悪かった。ぜひまた俺に、あの極上のモフモフを堪能させてくれ」

 シピを撫でるように、レジスは私の髪をやんわりと撫でた。
 獣化していなくとも、レジスの手が気持ちいいことは共通だ。ゆったりとした手の動きに瞳をとろんとさせていると、急に体が反転した。

 ……私、今度はレジスに押し倒されてる?

「油断したな?」

 私を見下ろしながら、レジスは意地悪な笑みを浮かべた。
 せっかくアナベルからもらったドレスを汚してしまったという罪悪感を頭の片隅に感じながらも、今はもう、脳内の大半のスペースがレジスのことで埋め尽くされている。

「次は待たない」
「レジスっ……!」

 我慢の限界というように、レジスは親指で私の唇をするりと撫でる。
 熱のこもったレジスの瞳が視界いっぱいに広がって、私は覚悟を決めて目蓋を閉じた。

 ――唇に柔らかい感触。レジスから与えられたキスは、びっくりするほど優しい。

 キスをされながら、私は絡められたレジスの指を強く握り返した。
 私を選んでくれた王子様の手。これからなにがあっても、この手だけは絶対に離さない。

 長いようで短いキスを終え、私たちはお互い照れくさそうに視線を外すも、またすぐに見つめ合う。

「……好きだよ。フィーナ」

 愛を囁く彼越しに見えるのは、青い空、白い雲。
 その二色を混ぜたような水色の髪を揺らしながら、レジスはゆっくりとまた、影を落とした。

end
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