モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
「俺は逆に、フィーナがパーティーに行けなくてよかった。そのおかげでフィーナをひとりじめできているからな。パーティーに参加されたら、人気者のお前をひとりじめなんてできなかっただろう」
「私が人気者? そんなわけないわ。人気者なのはレジスのほうよ」
「……自覚がないのか。停学中にお前が寮に残した功績はでかいぞ。学園でもよくフィーナの名前を耳にするようになった。寮生のやつらが、お前をかわいいと言ってる現場に遭遇したり……俺にとってはよくないことも……」
「そんなのありえないわ! 私より美人な女性は、この学園に山ほどいるじゃない!」

 後半は小声すぎてよく聞こえなかったが、私は被せるようにレジスの言葉を否定した。笑い飛ばす私を見て、レジスはあきれた顔をして、黙ってチキンを食べ進めた。

「パーティーは盛り上がってるかしらね」
「さあな。盛り上がってるんじゃないか。明日から冬休みだし、気が緩んで羽目を外すやつもいそうだ」
「あはは。たしかに。……そういえば、レジスはいつから家に帰るの?」
「俺は明日の午前中に寮を出る予定だ」

 そんなに早く出る予定だったとは。今日会えて、本当によかったわ……。

「レジスって、どの辺りに住んでるの?」

 いい機会なので、一度も聞いたことのないレジスの家の話を聞いてみた。

「俺は……ここからは遠いところだ。フィーナは?」
「私? 私は王都からはずいぶん離れた辺鄙なところよ」

 話題を私の話に変えられてしまった。レジスにとって、家のことはあまり話したくないことなのかも。軽率に聞くのはやめておこう。いつか、レジスから話してくれるときがくるかもしれないし。

「フィーナの家は伯爵家だったよな。辺境伯か?」
「いや、うちはただの田舎びん……貴族だから」

 田舎貧乏貴族と言いそうになったけど、〝貧乏〟というのは気が引けた。庶民のレジスの前で貴族の私が貧乏を名乗って、いい気はしないと思うから。

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