モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
「で、でも! 悪いことばかりじゃないわ! 事前になにかが起きると知っておくことで、覚悟できるというか。もしなにか起きても現実を受け止めることが重要で、それをきっかけに新たな関係を築けばいいのよ。むしろ、現状に物足りなさを感じているなら、変化のためになにかを壊せ! ってことかも」
「……変化のための崩壊、か。そう聞けば、怖さは少しマシになるな」
「でしょう? いちばん悪いカードだからって落ち込む必要は――あ」
隠しておこうと思ったのに、つい口をついてしまった。私はすぐに自分の手で口を塞ぐが、時すでに遅し。
「いちばん悪いカード……」
レジスは肩を落として、呆然と塔のカードを見つめながら呟いた。
「レジス、気にしたら負けよ! これはただの占いなんだから!」
「占いしてる本人がそれを言ったらだめだろ」
「そうだけど、私はプロの占い師じゃないし、当たる確率は高いといえないわ!」
レジスは俯いたまま、口を開かなくなった。
まずい。レジスは一歩踏み出すために背中を押してほしかったのに、これじゃあ強く押しすぎて、谷底に落としてしまったようなものだ。
「そういえば、私今朝から気分が優れなかったの! だから占いにも集中できなくて、つまり、この占い結果はチャラになるも同然でっ!」
レジスをなんとか慰めようとしていると、レジスの肩が小刻みに震えだした。な、泣いてる!?
「……ふっ……はははっ!」
と思ったら、急にレジスが笑い出した。肩が震えていたのは、笑いを堪えていたからのようだ。
「悪い。自分のことみたいに必死になってるフィーナがおもしろくて我慢できなかった」
「ひどい! 落ち込んだふりをしていたの!?」
「本当に落ち込んださ。でも、フィーナの必死の慰めが効いた」
相当ツボに入ったのか、レジスはうっすらと涙を浮かべている。レジスがこんなに声を出して笑ってるの、初めて見たかも。
「……それにもし関係が崩壊するようなことがあっても、俺たちなら大丈夫だ」
俺〝たち〟?
サラッとすごいこと言ったような気がするんだけど、本人は気づいてないのか、さっきとは打って変わって清々しい顔をしている。
「レジス、俺〝たち〟っていうのはどういう意味?」
「っ! な、なんのことだ。フィーナの聞き間違いじゃないのか?」
――レジスったら、指摘されてようやく自分のうっかり発言に気づいたのか、誤魔化そうとしているわね。
最近やたらと積極的な発言が多かったのに、こういうときは変に意地を張るんだから!
「いいえ。はっきり聞こえたわ」
「言ってない」
「言った!」
「言ってない!」
しばらく、私とレジスの水掛け論が続いた。
言い合いが終わるころには、テーブルに置かれた塔のカードのことなんて、私もレジスもすっかり忘れていた。
「……変化のための崩壊、か。そう聞けば、怖さは少しマシになるな」
「でしょう? いちばん悪いカードだからって落ち込む必要は――あ」
隠しておこうと思ったのに、つい口をついてしまった。私はすぐに自分の手で口を塞ぐが、時すでに遅し。
「いちばん悪いカード……」
レジスは肩を落として、呆然と塔のカードを見つめながら呟いた。
「レジス、気にしたら負けよ! これはただの占いなんだから!」
「占いしてる本人がそれを言ったらだめだろ」
「そうだけど、私はプロの占い師じゃないし、当たる確率は高いといえないわ!」
レジスは俯いたまま、口を開かなくなった。
まずい。レジスは一歩踏み出すために背中を押してほしかったのに、これじゃあ強く押しすぎて、谷底に落としてしまったようなものだ。
「そういえば、私今朝から気分が優れなかったの! だから占いにも集中できなくて、つまり、この占い結果はチャラになるも同然でっ!」
レジスをなんとか慰めようとしていると、レジスの肩が小刻みに震えだした。な、泣いてる!?
「……ふっ……はははっ!」
と思ったら、急にレジスが笑い出した。肩が震えていたのは、笑いを堪えていたからのようだ。
「悪い。自分のことみたいに必死になってるフィーナがおもしろくて我慢できなかった」
「ひどい! 落ち込んだふりをしていたの!?」
「本当に落ち込んださ。でも、フィーナの必死の慰めが効いた」
相当ツボに入ったのか、レジスはうっすらと涙を浮かべている。レジスがこんなに声を出して笑ってるの、初めて見たかも。
「……それにもし関係が崩壊するようなことがあっても、俺たちなら大丈夫だ」
俺〝たち〟?
サラッとすごいこと言ったような気がするんだけど、本人は気づいてないのか、さっきとは打って変わって清々しい顔をしている。
「レジス、俺〝たち〟っていうのはどういう意味?」
「っ! な、なんのことだ。フィーナの聞き間違いじゃないのか?」
――レジスったら、指摘されてようやく自分のうっかり発言に気づいたのか、誤魔化そうとしているわね。
最近やたらと積極的な発言が多かったのに、こういうときは変に意地を張るんだから!
「いいえ。はっきり聞こえたわ」
「言ってない」
「言った!」
「言ってない!」
しばらく、私とレジスの水掛け論が続いた。
言い合いが終わるころには、テーブルに置かれた塔のカードのことなんて、私もレジスもすっかり忘れていた。