モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
 それから数週間が過ぎ、学年末パーティーが刻一刻と迫ってきていたある日のことだった。

 倉庫の修復作業も、今日で無事終えることができそうだ。寮の盛り上げも成功したし、これで課題はすべてクリアした。
 学費免除は間違いなしとなったが、私はまだ悩んでいることがあった。
 レジスとのことだ。

 このままなにも伝えずに会えなくなるのはいやだ。素直に退学のことを話し、自分の気持ちを打ち明けるべきか。
 しかし、そうしたらエミリーとの関係も全部話さなくてはいけない。エミリーの召使い同然だったことも、実は学費をルメルシェ家に出してもらっていたことも、全部。
 そして――獣化のことも。
 もしレジスが私と同じ気持ちでいてくれたとしても、ちがったとしても、シピが私だということは話さなければいけない。じゃないと、私はずっとレジスを騙したままになる。
 レジスは私がシピだと聞いて、幻滅しないだろうか。
 真剣に悩みにアドバイスをしているふりをして、裏で自分がシピとして動いてたことを知られたら……レジスに嫌われるかもしれない。

 そう思うと、私はレジスにこれ以上踏み込むことが怖くなっていた。
 今のままの関係がちょうどいい、なんて言い聞かせてきたけど、このままレジスとお別れになったら絶対に後悔する。

「……はぁ」

 大きなため息をつきながら倉庫に着くと、中で私を待っていた人物がいた。

「待ってたわ。フィーナ」
「エミリー……!? どうしてここにっ……」

 私がこの数ヶ月でぴかぴかに磨きあげた倉庫の壁に、エミリーが寄りかかっている。
 特別課題のことをエミリーは知らないはずなのに、なぜ私がこの時間にここへ来ることを知っているのか。

「どうしてって、以前しっかりとこの目で見たからよ。ここでフィーナが獣化して、レジスに会いにいってたところを」
「! な、なに言って」
「誤魔化さなくていいわ。メレス家が獣化できる血を持っているということは、既に調査済みよ」

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