ミスアンダスタンディング
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みぃは自分の意見を言うのが苦手だと思う。
内心いやだと思うことも、きっとなかなか口に出すことが出来ず、結局は人に合わせてしまう性分だろう。
もう付き合って数年が経つけれど、みぃが自分の意見を通すところなんて見たことが無いに等しい。
『ほら、一回くらいさ、他の人と試してみたいとか思ったりしない?』
そんなみぃに言われたからこそ、ショックがデカかった。
潜在的にそういう気持ちがあったんじゃないかと思ってしまえば最後、もう感情を抑えることなんてできなかった。
言いすぎた自覚はある。
いくら頭に血が上ったとはいえ、あんな風に一方的に責め立てるべきじゃなかった。
きっとみぃには、もっと寛容な心を持ってる男の方が合うんだと思う。
間違っても怒りに任せて部屋を飛び出したりしない、大人な男の方が、きっと…。
「…女々しいことばっか考えんなよ」
独りごちて、腕で目を覆う。
肺の中の酸素を全て吐き出すように、はぁーっと溜め息を吐いた。
みぃの部屋を飛び出したあの日から二日が経った。その間、連絡は取り合っていない。
今日は日曜日。
いつもなら二人で過ごす日。
会いに行こうかと何度も考えた。結局考えるだけで行動には移せず、未だにベッドに寝転がったまま。時刻はすっかり昼になっていた。
会いたい。でも、どんな顔をして会えばいいか分からない。
自分がこんなに意気地なしだなんて知らなかった。
女々しい上に意気地なしで独り善がりって…。
二重苦どころか三重苦かよ。
終わってんな、俺。
もう何度目か分からない溜め息が口から溢れ落ちた、その時。
――ピーンポーン
来客者を告げる音が響いた。