秘密事項:同僚と勢いで結婚した


押し付けるように何度も何度も上から降るキスを受け止めていると、私が逃げないように左手は腰を抱き、右手は私の頬を撫でる。


「待って…。途中で誰か入ってきたら…」


制そうと思っても、彼は止まらなかった。


私のことを軽く体全体で押して壁まで追いやると、頬を撫でていた手は壁に触れる。


壁と穂高くんに挟まれて、ひたすら唇を重ねるだけのキスを繰り返した。



頭はボーッとして、クタクタになった頃、『ポーン』という到着の合図が鳴り響く。それがやけに大きく聴こえて、現実に勢いよく引き戻された。



身体は熱い。
この熱をアルコールのせいにして、手を引かれて歩き出す。



目の前の穂高くんの背中を見つめたまま、私たちの住む部屋へと着くと、穂高くんは振り返ってもう一度私の方を向き直した。それからゆっくりと距離を詰めると耳に柔らかく注ぐように声帯を震わす。


「……ごめん…。もっと…」


なんで謝るんだろう。


《ちゅっ》


角度を変えて数えきれないほどの短くて唇の弾力を楽しむようなキスを玄関でする。


「ほだ……んっ…ほ、だかくん…?」

「んっ…?」

「待って…。心臓が…苦し……っ…んん…」


誰かに握られてるみたいに締まって苦しい。
ゆっくりと瞳を開けると、至近距離で穂高くんと目が合った。

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