秘密事項:同僚と勢いで結婚した
それからお腹を満たし、満足な気持ちでソファに身を委ねる。昼間の疲れがドッと押し寄せて、穂高くんが隣に座るけれど私は無反応だった。
「もう眠たそうにしてるところ悪いんだけどさ」
「んー?」
「こっち向いて」
言われるがままに穂高くんの方向を見た。
《ちゅっ》
「ーーっ…」
「隙あり」
唐突にキスされて言葉にならない声が漏れる。心臓を高鳴らせながら姿勢を正して呼吸を繰り返すと、先ほどまで感じていた眠気が嘘のように脳が冴えた。
「………」
無言のまま見つめてくる。なんとなく察して、私は真剣な表情をつくった。
「……話があるんだけど…」
「うん」
「…………葉山は自分の誕生日…気にしてない感じだけど…」
「……うん」
「俺にとっては特別な日です。」
「急に敬語?」
穂高くんから敬語を使われるのを可笑しく感じて、せっかく作った真面目な表情がすぐに崩れた。
「………大切な人が生まれた日だし…。大好きな人の誕生日は全力で祝いたい」
「うん」
「だから、その…葉山にも、『どうでもいい』とか思って欲しくなくて…! これはただの自己満かもしれないんだけど…」
それだけ言うと、彼は強引に私の唇に彼自身の唇を重ねてきた。