秘密事項:同僚と勢いで結婚した







「……葉山、めちゃくちゃ可愛かった…」


今、私は穂高くんの腕の中にいる。存在感があるけれど優しい腕に安心して、ゆったりと目を瞑れば額に口付けられた。


「……痛くない?」

「平気」

「ならよかった」


労らわれるのは少しだけ擽ったい。でも快くて、胸はドキドキと高鳴る。


「………私、穂高くんと結婚してよかった」

「体の相性良かったからとか?」


照れ隠しのように私の夫は訊いてきた。その問いかけに対して、私は真面目に返そうと心に決める。


「……………今、すっごく幸せだから。穂高くんと一緒になれて良かった」

「っ…」


予想通り、彼はひたすら嬉しそうに顔を赤くして笑う。



その顔をさせられるのは私だけ。



胸の内から湧き上がる多幸感と満足感に甘く溺れた。

< 97 / 137 >

この作品をシェア

pagetop