先生がいてくれるなら①【完】
先生は無表情で「こいつ俺の教え子」と、もはやお約束の簡単すぎる紹介をする。
そして、私に対しては「こいつら俺の元バイト仲間」と、同じく雑な紹介をしてくれた。
「いや、雑すぎるだろ!?」
「もっと他に紹介の仕方があるはずだ!」
「俺はこいつが東大理科三類が余裕で合格圏だったとか絶対信じねぇ! 絶対バカだろコイツ!」
皆様の不満はごもっともです、それに関しては私も日頃から常々感じておりまして……。
不満の矛先である先生はと言うと、相変わらず無表情で腕を組んだまま微動だにしない。
この人はあれかな、仏像か何かかな。
こうなるとしばらくはこれ以上口を開くつもりは無さそうなので、私は諦めて「はじめまして、立花明莉です」と自己紹介した。