先生がいてくれるなら①【完】
「孝哉の事で何か聞きたい事ない~?」
そう言われて、私は今日一番気になっていた事を口にした。
「先生って、昔ここでバイトしてたんですか?」
「そうよー。ちょうど私とリョウが結婚してこのお店を始めたばっかりの頃にね、フラッと立ち寄ったらしいんだけど、あの子なんか陰がある感じじゃない? 私、心配になっちゃってさ、声かけたのよー」
陰がある、うん、それは私にも分かります。
「ちょっとお兄さん、あなたイケメンだからうちの店で働かない?って」
「えっと……ホストクラブみたいな勧誘ですね?」
「いやいや、実際、ホストみたいなものだったわよー。あの顔でしょ? 女の子が来るわ来るわ。そんでもってその女の子目当てに、男も来るわ来るわ。大繁盛よー。孝哉には感謝してるわー」
うーん、あまりにも容易に想像出来すぎてコワイです。