異能者達の宴～夢の競演特別編～

振り下ろされる、巨大な拳！

「っ！」

哲平、そしてそばに立っていた私達も、咄嗟にその拳を回避する。

結果として拳によって殴りつけられた私の洋館の門構えがたった一撃で粉砕された。

「な…な…！」

思わず尻餅をついた修内太が、少年の凶行に言葉を詰まらせる。

「気をつけて、修内太君｣

黛が言う。

「異形者は…自らの肉体を自在に変化させる…肉体そのものを…凶器に変える｣

ななみも修内太に説明する。

何にしても。

「この場で戦うのはまずいわね｣

私は異形者に背を向けて走り始めた。

「おい、四門！｣

哲平、黛、そして修内太を引き起こしたななみも後に続く。

「どこにいくつもりだ、奴からは逃げ切れないぞ｣

走りながら哲平が言う。

「誰が逃げるって言ったのよ｣

私は哲平を睨んだ。

「近くに防音と人払いの結界を施した雑木林があるわ。こんな時の為に事前に準備しておいたの｣

派手に暴れるならばそこでだ。

こんな街中であの化け物を相手していたら、私が魔女であるという素性がそこら中にばれてしまう。

それは何かと面倒になるので避けたかった。