異能者達の宴~夢の競演特別編~
異形者は当然の如く私達を追ってくる。

肥大化した左腕を振り回し、そこら中を破壊しながら。

ブロック塀も、電柱も、駐車してある車も。

何もかもが彼の左腕の一撃で粉砕されてしまう。

「誰が記憶操作の魔術で事後処理すると思ってんのよ、全く…!」

毒づきながら、私は雑木林まで走った。

あそこまで奴をおびき寄せる事ができれば、一気に決着をつける事が出来る。

ただ怪力なだけの化け物なんて、私の敵じゃない。

…もうすぐ、雑木林。

私は脇目もふらずに走る。

と。

「きゃ…!」

背後で悲鳴。

立ち止まって振り向くと。

「!」

ななみが足をもつれさせて転倒していた。

最後尾を走っていたななみ。

すぐ後ろには、異形者が左腕を振り上げて迫っている!

「ちっ!」

私は一度右目を閉じ。

「手間がかかるわね!」

見開いた瞬間には、その右目は金色の光を灯し、縦長の瞳孔へと変化していた。

あらゆる魔道魔術を自在に我が物にする魔性の瞳、呪眼。

私が『デッドゲイトの魔女』と呼ばれる所以だった。




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