Lunatic
兄は大きく息を吐き出しながら、ベッドのそばにある椅子に座った。


「あの倉庫に人を呪う力なんてない。こいつは死なないよ」


そう言いながら千葉の頭を何度か叩く。


「どうしてそう、言い切れるんですか」


瀬畑はタチの悪い冗談を言った千葉の兄を睨みつける。


「……あの倉庫で自殺した女子生徒も、宮村に傷付けられていたらしい。耐えられなくなって、倉庫内で首を吊って死んでたんだと」


どうしてそんな話をするのかわからず、三人とも黙ってそれを聞く。


「だから、呪われるとしたら宮村だけだと思わないか?女子高生もこいつも、呪われる対象にはならないだろ」


そう言い切ってしまうのは、少し乱暴だと思った。
だが予想外の真実に、誰も口を開けなかった。


「まあ、全部女子高生が刺し回った結果だから、呪いなんて存在しない、のほうが説得力としてはあるか」


千葉の兄は一人で話を続ける。


「……そういえば笹崎、あの倉庫で宮村にナイフを向けられたとき、誰かになにか言われた、みたいなこと言ってなかったか?」


瀬畑が顎に手を当て考える素振りをしながら、言った。


「え、それってまさか……」
「自殺した女子生徒が……ってこと?」
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