記憶シュレッダー
鏡の中の自分が何を言っているのかわからなかった。


いい子ぶるって、どういうこと?


「そろそろやりたくなってきたんでしょう?」


鏡の中のあたしは更に話しかけてくる。


口元に手をやると、自分の口が動いているのがわかった。


鏡の中のあたしではなく、あたし自身がさっきから独り言を呟いているのだ。


全身がそうけだち、恐怖しているのに悲鳴が出てこない。


口元はずっと微笑んでいて、何かを訴えかけてきているように見えた。
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