釘とパズル
”ズキン ズキン ズキン”
最後まで頭痛は体を蝕み続ける。死んだらこの痛みは本当に消えるのだろうか?
あと一歩だけ足を前に出したら死ねる。
地上の見下ろすとコカコーラの自動販売機が見えた。
その瞬間に圧倒的な恐怖が全身に巡らされた。
「レイナ!」
振り向くと久美が息を切らして立っていた。
「久美?どうして?」
私の体から恐怖が去り希望が芽生える。
「なにしてんのよ、やめてよ」
「私はまだやり直せるかな?」
「当たり前じゃない、だから動かないで。お願い、そこを動かないでね」
久美は息を整えながら私にゆっくりと近づいた。
「さっきは電話で酷い事言ってごめんね」
私の目から涙が流れる。私は救われるんだ。
「謝らないでいいってば、だって友達じゃない」
久美は笑顔を見せ私の前で立ち止まって私に話しかける。
「あのね私も考えてたのよ、世界が平和になる方法。でねレイナの話を聞いてなんとなくわかった気がするの。鍵は銀の林檎と草薙の剣だって。レイナならわかるでしょ?」
久美はニヤリと笑った。私は意味がわからずに久美の顔を見つめる。
「なに言ってるの?わかんないよ」
「だからレイナを殺して私が神になるのよ。私が創世の神になったら世界が平和になるのよ。悪意をしらない子供だけの至高の世界が。そのためには私がレイナを殺さないといけないの。焦ったわレイナに自殺でもされたら私が神になれないじゃない。神になるには生け贄が必要だから、これで私は神になれるわ」
”ドンっ”
久美に突き飛ばされた私の体は宙に浮かび、ゆっくりと落ちていった。
最後に見えたのは久美の悪魔のような笑みだった。






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