独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「えっ? ちょっと、なにしてんの。まだ酔ってるの?」
慌ててその体を引きはがすと、旭は頼りない顔をして笑う。
「……酔ってなきゃ、できませんよこんなこと」
「悪ふざけはいい加減にして。早く帰るよ、立てる?」
彼の腕を掴んで立たせようとすると、顔を背けた旭がボソッと漏らす。
「……全然、動揺してくれないんだなぁ」
「え?」
「なんでもないです。立てますし、歩けます」
すっくと立ちあがった彼は、しっかりした足取りで歩き出す。
なんだ。思ったより大丈夫みたい……。でも、それならなんで私を呼んだりしたの?
怪訝に思いつつも、先を歩く旭を追いかけて隣に並ぶ。
「そういえば、旭はまだ実家に住んでるの?」
「はい。愛花さんもですよね? 先に送りますよ」
「あ、ええと、私は……」
どうしよう。なんて言おう。そのまま実家に住んでることにして、今日のところは実家に帰る? 一瞬そんな考えがよぎったが、すぐに〝それじゃダメだ〟と思い直した。
今日は、小田切先生のマンションに帰る。ちゃんと彼と話し合う。そう決めたじゃない。私はぴたりと足を止め、すうっと息を吸って旭に告げた。