独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

「食べられなくはないけど、美味しくない……」
「どれ、俺にも味見させて」

 料理する私を隣で興味津々に観察していた純也がそう言うので、小皿に取った煮汁を彼に差し出す。彼はそれを口に含んですぐ、鼻から息を漏らして笑った。

「ごめんね。正直に言うけど、微妙な味」
「だよね。なんだろう、なにがいけないのかな」

 再度自分でも味見をしつつ、首を傾げる。料理なんて実家でもまったくしなかったから、失敗の原因も改善点も、見当がつかない。

「塩分が効いてるわりに、だし……というかうま味がないんじゃない?」
「あ、そっか。……でも、これ以上なにか足したら余計にしょっぱくなるよね」
「今日はこれでいいよ。初めて愛花が俺のために料理作ってくれたのがうれしいし、美味しくないのもある意味記念」


 彼はそう言ってニコッと微笑むが、こんなカッコ悪い記念、うれしくもなんともない。

< 166 / 224 >

この作品をシェア

pagetop