独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「休暇の間に、毎日料理の練習しようかな」
「いいね。……と言いたいところだけど、せっかくの休暇なんだから、料理しなくても済むところに何泊か泊まりに行かない? 舟木先生も新婚旅行に行けって言ってたし」
「新婚、旅行……」
その照れくさいフレーズを噛みしめるように呟いていると、背後に回った純也がギュッと後ろから私を抱きしめ、耳元に唇を寄せる。
「こうやって家で愛花とじゃれ合うのも好きだけど、ふたりで出かけられるチャンスなんてめったにないし……愛花といろんなものを見たり食べたりして、もっと夫婦の仲を深めたいんだ。ダメ?」
甘えたように聞かれて、首を横に振る。
「ううん、もちろん賛成。……でもね、私も連休の内にしたいことがふたつあって」
「ふたつ? なんだろう」
「ひとつは、お母さんとお祖母ちゃんのお墓参り。家族の中で私だけ、あまり行けてなかったから」
父と祖父は、よっぽどのことがない限り、月命日には毎回きちんとお参りしていて、そのうちの半分ほどは、颯も同行している。
私も学生時代、臨床研修が始まるまではこまめに足を運べたが、その後は仕事と試験勉強に追われ、めっきり行かなくなってしまった。