独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「ここで泳いだら気持ちよさそうだね。私、カナヅチだけど」
「ホテルに温水プールがあるから、俺が手取り足取り教えてあげようか?」
「……なんか変なこと考えてない?」
〝手取り足取り〟の部分を妙に艶かしい声で言うものだから、つい疑って彼の顔を覗く。
「失礼な。俺は真面目に、水着の愛花にどんな悪戯しようかなって考えてるんだ」
「それが変なことだって言ってるの!」
繋いでいた手をほどき拳で軽く彼の肩を叩こうとしたら、純也はひょいとよけて少し先まで走り、こちらを向いて小さく舌を出す。
「もうっ!」
子どもかと突っ込みたくなる半面、無邪気な彼にキュンとしてしまう自分もいて、それを誤魔化すように、わざと怖い顔を作って彼を追いかける。
「待ちなさいっ」
「ははっ。ここまでおいで」
余裕たっぷりの彼にムッとして本気で走ったら、砂浜に足を取られて体勢が崩れる。
やばっ。転ぶ……。
そう覚悟した瞬間、駆け寄ってきた純也が私の体を受け止めた。しかし、彼も後ろにバランスを崩し、私を抱き留めたままで砂浜に尻もちをついた。