独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「平気……夢を見てたみたい」
「うなされてたけど……怖い夢でも見た?」
心配そうな純也に顔を覗き込まれ、少し考える。なんとなく切なくて、涙まで流していたけれど……怖いという感覚はなかった気がする。
「ううん。それより、懐かしい感じだった……かな」
「そっか……。体調は平気? 頭痛はない?」
彼が、大きな手のひらを私のおでこにあてる。「熱はないな」と呟く彼に、「全然平気。元気だよ」と笑ってみせた。もちろん、強がりではなく本音だ。
朝食を食べて支度をしたら、今日はさらに西の熱海を目指す。湯河原とはまた違う、リゾート感あふれる海や街並みが見られると聞いて、こちらも楽しみにしていたのだ。
旅館のチェックアウトを済ませると、純也の運転でしばし海沿いをドライブ。昨日に引き続き天気に恵まれたので、水平線がきらきらと太陽の光を反射していた。
宿泊予定のホテルは海のすぐそばで、その駐車場にいったん車を置いて、私たちは歩いて海岸に向かった。
夏は多くの人で賑わうのであろう砂浜には人の姿はあまりなかった。波と潮風の音以外静かな波打ち際を、彼と手を繋いでゆっくり歩く。