独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

鴨川(かもがわ)美波さん、二十五歳。顔の痺れと痛みで近所の脳外科クリニックを受診。MRIで脳深部に髄膜種(ずいまくしゅ)を確認。三叉(さんさ)神経痛の症状があるので、オペをするにしても放射線治療をするにしても入院が必要だろうというクリニックの判断で、紹介状を持って来院されました。ご本人もご家族もオペを希望されているので、明日から検査入院していただきます」

 嘘。美波ちゃんが髄膜種……?

 私は信じられない思いで、蓮見先生が皆の前に貼り付けたMRI画像に注目する。

 腫瘍はそれほど大きくないようだが、血管や神経の集まるいやな場所にある。髄膜種は基本的に良性の腫瘍だが、この部位から摘出するには相当の技術と経験が必要だ。

 小田切先生か、あるいは蓮見先生か……。そのふたりでも、絶対大丈夫とは言い切れないほど、難易度の高いオペになるだろう。

 美波ちゃんが、こんな状態だったなんて……偶然なのかな。

 颯をフッてから、病気が発覚した? それとも、病気が原因でわざと颯をフッた?

 後者だとしたら、美波ちゃんが別れの理由を告げなかったのは、颯に心配を掛けたくないから……?

 モヤモヤするが、医者には守秘義務がある。美波ちゃんの状態について、勝手に颯に話すわけにもいかない。

 明日から検査入院なら、本人と少し話してみようかな……。

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