独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
想定外の事態に慌てるが、手が繋がれたままなので逃げ出すことができない。
いくら小田切先生が恋愛に興味のない人でも、こんな時間に女性を部屋を上げるってどうなの?
色気のない自分がなにかされるとは思わないけど、平常心ではいられない。
「エレベーター、こっちだから」
動揺する私にはお構いなしで、小田切先生はズンズン建物の奥へ進む。
通り過ぎていくエントランスやロビー、通路のインテリアは、グレードの高いシティホテルのようにシックで高級感があり、いっそう私の緊張を煽った。
突き当たりでエレベーターに乗せられ、小田切先生が四階のボタンを押す。ドアが閉まると、狭い空間で高鳴る自分の鼓動の音が彼に聞こえてしまわないか、不安になった。
「……ちょっと意外だったな」
小田切先生が不意に、私を見下ろしてつぶやく。
「え?」
「愛花先生のことだから、もっと平然とついて来るかと思ったけど……その顔。男の部屋に誘われたってこと、一応意識してるみたいだね」
顔を覗き込まれ、彼の長い指先がそっと私の頬を撫でた。