独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
そう自分に言い聞かせ、気を取り直して靴を脱ごうとした瞬間だった。
「やっと安全地帯に来れた」
そんな呟きとともにふわりと暖かい腕が背後から回され、後ろから小田切先生に抱きしめられた。
な、なんで……?
思考がショートして、身動きが取れない。
「お、小田切先生? いったい、なにを……」
「なにって、抱きしめてるの」
悪びれもせずに答える彼が憎らしい。……憎らしいのに、なぜ私の胸はこうも高鳴っているのだろうか。
「それはわかりますけど! その理由と言いますか、いったいどういう心境で……!」
「うん? だって……惚れちゃったんだもん」
甘い声を耳に吹き込まれ、ドキン、と胸が跳ねる。肩に回された腕が、ますます力を込めて私を拘束する。
ほ、惚れたって……。
彼の言わんとすることはなんとなく察したが、理解できるかどうかはまた別だ。
私はおそるおそる、彼に確認する。
「だ、誰に……ですか?」
「この状況でそれ聞く? ここには俺と愛花先生しかいないのに」