独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
呆れたように笑われるが、本当にわからないから聞いているのだ。
自分で言うのもなんだけど、私はこんなふうに男性に抱きしめられるキャラじゃない。
「だって、私には惚れられる要素なんて、どこにも……。女なのにメイクも服装も気を遣わないし、口だって悪いし……黒瀬さんみたいな色気も、ないし」
自信なさげに告げると、耳もとにふっと笑った彼の息がかかる。
「あのさ、男がみんなああいう女性を好きなんだと思ったら大間違いだから」
「うそ……信じられません」
現に蓮見先生だって、彼女とのキスにがっついていたし……。
「ホントだって。証拠、見せようか?」
「証拠? そんなのどうやっ――」
背後の彼を見上げようと首を動かしたその瞬間、突然視界が暗くなり、唇に柔らかい熱が触れた。
大きく見開いた目に映るのは、小田切先生の端整な顔。黒々と長い睫毛の一本一本までが鮮明に見え、頭が真っ白になる。
えっ。ちょっと、待って……。なんで、キス……。
じわじわと、顔じゅうに熱が集まる。中でも彼と触れ合っている唇が、一番、熱い。
なにこれ。人間の唇同士って、合わさるとこんな感触なの?
頭がふわふわして、溶けちゃいそう……。