独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「そうだよ。もう一度言ってごらん? 俺と一緒にいると自分がどうなるのか」
「えっ……? ですから、脈が不自然に速くなったり、体温が上がったり、急に食欲がなくなったり……とにかく、冷静な自分ではいられなくなっ――」
話の途中なのに、またしても予告なく降りてきた彼の唇に、話を中断させられた。
だから、なんでキスを……!?
ぶわっと顔に熱が広がり、息をすることもできず、唇が離された時には、思わず甘い吐息がこぼれた。
「せんせ……ちゃんと、説明……っ」
乱れた呼吸で胸を上下させながら、彼を睨みつける。すると、彼は私の頬にスッと大きな手を差し込み、愛しそうに細めた目で私を見つめた。
「それ、恋に落ちた人の初期症状」
「へ……?」
ぽかんと開いた唇から、間抜けな声が漏れる。
恋……って? 誰が誰に……?
「本当になにも知らないんだな。……ねえ、愛花先生」
「は、はい……」
「初恋も、キスも、その先も……全部、俺が教える。だから、結婚を考え直すなんて言わないで? たとえ最初は契約上の関係だとしても、いつか本物にしてみせるから」