独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
しかも、蓮見先生は彼女の指導医。
科の方針としては、彼女のような専攻医や研修医に対して、指導医であろうとなかろうと関係なく皆で指導する決まりになっているが、蓮見先生が俺よりも彼女に近づく頻度が多いのは否めない。
オペの腕はいいが、手が早いんだよなー、あの人。
俺はふたりの会話に気を揉みながらも、パソコンに向かっているうちに自然と仕事のスイッチが入り、担当患者の夜間の状態を注意深く確認していった。
朝の回診、外来診察の後、昼食を取る暇もなく一件のオペを終え、ようやく医局に戻ってきた十六時頃。
なにか口に入れようと、休憩スペースの小さな冷蔵庫を開けると、すぐそばのソファに愛花先生がひとりで座っていた。険しく眉間にしわを寄せ、ジッとなにか悩んでいるようだ。
「どうしたの? 考え事?」
あえて軽い調子で声を掛けながら彼女の向かい側に腰掛け、冷蔵庫から出したアーモンドチョコの箱を開けて、テーブルに置く。
「糖分足りてないんじゃない? ほら」