独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する
「愛花、ちょっと話がある」
そう私を呼んだのは父で、すっかり警戒している私は首を横に振った。
「……疲れてるから、今度にして」
「そう言うなって。ほら、愛花のために買ってきたんだ。最新号のザクシィ」
ひええ、やっぱりそっち系統の話だった!
お父さんってば、その雑誌をレジに持っていくの恥ずかしくなかったわけ?
「ぜっったい読まないから!」
私は完全拒否の態度でメンチカツを頬張り、慌ててご飯をかきこむ。
そして口をパンパンにしながら「もうおふおあいってえうああ(もうお風呂入って寝るから)!」と足早にダイニングを後にした。
結婚とかそういう話は、本当に勘弁してほしい……。
脳外科医というのは本当に気力も体力もいる仕事で、プライベートで遊んでいる暇なんてほとんどない。ベテランの先生方は適度に息抜きしているようだけれど、それでも既婚者はひとりもいない。
忙しくて恋愛する時間がないのはもちろん、脳外科医という仕事を理解してくれるパートナーを見つけるのも、なかなか難しいのだろう。
父と祖父には悪いけど、私は一生独身だ、きっと。
そんなふうに結論づけると、私は女子力ゼロの着古したスウェットに着替えるため、自室のクローゼットを開けるのだった。