背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 今朝だけの事なのに、広がってしまった荷物を、ゴソゴソとスーツケースに詰める。

 大きなスーツケース二つを引きずりながらリビングへと向かった。

「色々とご迷惑おかけしました」


 ペコリと頭を下げると、ソファーに座りパソコンに向かっていた彼が顔を上げた。


「はあ?」

 彼は、怪訝そうに眉を顰めて私を見た。


「なんだかよく分かりませんが、泊めて頂きありがとうございました」


 私は、スーツケースに手をかけた。


「ああ…… で、何処に行くんだ?」


「適当にホテルを探します」

 あてにした友達は、同棲はじめちゃうし、行くところなんてホテルくらいしか思いつかない。


「はあ? 予約したんじゃないのか? そんな荷物持ってウロウロしていたら、怪しまれるぞ」


 彼の呆れた声に、イラっとする。

 私は、バックからスマホを出した。
 この時代だ、ホテル予約なんてネットからすぐ出来る。


「はあ……」


 彼は深くため息をついた。

「これから、予約しますから」


「何泊する気だよ。ビジネスホテルだって、一か月も泊まったらいくらになると思う? カプセルホテルじゃ、そんな荷物は持ち込めないぞ」


「うっ……」


「そんな風だから、親達にハメられるんじゃないのか?」


 彼のバカにしたような言葉に、さすがにカチンときた。
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