しかくかんけい!



「もっと鳴いて」


嗚呼、欲しい。

今すぐ俺のものにしたい。


口元の手を取り払って、その無駄のない輪郭を堪能する。

息を殺してぎゅっと目を閉じる愛莉は、俺の欲望をさらに煽っていることをわかっているだろうか。



「……なさい」

「ん?」


伏せた顔からか弱い音が出たから、

ぴたりと弄んでいた手を止める。



「ごめんなさい!」

「……え、」

「さっきの返事!」

「だめ」



身を翻した彼女の体温が離れる寸前でその細い腕を掴み、ぐいっと手繰り寄せる。


彼女の行動は夏祭りの夜で学習済みだ。

今度は逃さないよ。


悔しそうにキッと俺を睨みつけ、渋々といった具合でピンと張った腕を緩める。


「離して。私、あなたのこと好きになんてなれないから」

「いいよ、別に好きにならなくても。俺の隣にいればいい」

「よ、よくない!私はそらのそばにいたいの!」

「だからそれでもいいって!」





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