しかくかんけい!

合奏はどうしてもみんなで一つの音を調和させなければいけない。

自分の音を聴いて、みんなの音を聴いて、一つのハーモニーとして創りあげるもの。


言い方を変えれば、自分の個性は控えめにして、みんなの音に自分の音を沈めていく。

でも、私の音は、どうやっても沈まないらしい。


「毎度毎度、合奏でハナちゃん指摘してごめんね。悪目立ちしてる音ってわけじゃないから、別に問題はないんだけどね。ただ私が気になっちゃって」


どうやり方を変えてみてもなかなか沈まなくってね〜と言って、参ったように手をひらひらさせた。


「な、なるほど……だから私、よく吹き方とか口の形を変えるようにってアドバイスいただいてたんですね」

「そういうこと。ね、だから挑戦してみて!きっとハナちゃんの才能だと思うから」


自分では沈んでるのか浮かんでるのか全然わからないけど、私の音ってどんな音なんだろうなあ。

これがきっと私の才能だとしたら、どんな音か気になるところ。



< 38 / 433 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop