しかくかんけい!
* * *
数日後。
すっかり暖かくなってきたけどたまに初春の涼しさが顔を覗かせるこの頃。
桜はほとんど散っていたが、代わりに緑が生えはじめている。
登校中に電車から見たその景色は、たしか現代文の授業で出てきた「晩春の候」とでもいうのかなあ。
学校の屋根よりは低い鯉のぼりが見えてきたとき、ぽんっと肩を叩かれ振り返る。
「おはよう」
「あ、愛莉!おはよー」
いつものように挨拶をしたら、私は最近の悩みごとを話す。
「誰かいないかな〜」
「ピアノ伴奏者?」
「うん」
ソロコンに出るとは決まったものの、ピアノ伴奏をするペアがなかなか決まらない。
クラスのピアノ弾ける子の何人かに声掛けしてみたけど、これから中間テストもあるしほかの部活も大会に向けて忙しいようで。
「そういえば、去年の合唱コンクールにしょーくんピアノ伴奏してたよね」
「あ!覚えてる、かっこよかったなあ〜」