しかくかんけい!
「違う。俺はそんなに暇じゃないって」
「嘘つけ!これはどこからどう見てもてめぇだろ!?」
「まあ……これはそうだけどね」
この野郎ッ!! と手を振りかざし勢い良く振り下ろされようとしたとき。
その動きは止まる。
「はいはーい、一旦落ち着きな♪」
「くっ……誰だあんた」
振り下ろされかけた腕を掴んでいたのは、金髪くん。
「お前こそ……って、あー!キミは愛莉ちゃんの幼馴染だね!?」
「…………」
「うわーマジで背ぇでかいね、ハーフ?絶対ハーフでしょ!いいな〜いいな〜身長分けて?ねーねー」
「……ちっ」
頭をポンポン叩きながら騒ぐサルのような金髪くんを一瞥したそらっちは、めんどくさそうに舌打ちして渋々俺から離れる。
「ふう」
解放された喉へ一気に酸素を通す。
しっかりシワになった胸元を見下ろせば第2ボタンが一本の糸でかろうじて垂れ下がっていた。
そらっちの辞書に、手加減という単語は存在しないのかもしれない。