しかくかんけい!
その鶴の一声で皆ざわざわ動き出す。
「まあいいや。じゃーね、そらっち」
「……」
ぽん、と肩をたたけば汚いものを見るような目で睨まれ、ほこりを払うように同じ場所をはたく。
俺めちゃくちゃ嫌われてるし。
そういえば、あのふたりはどこかへ走って行ったっきり、まだ戻っていない。
ここ最近は喧嘩でもしたのか一緒にいる姿を見なかった。
……なんとなく。
何かが起きるような、何かが変わるような、
そんな気がした。
授業中。
つんつん、と背中をつつかれて少し首を回すと、後ろの席のおさげ女子が控えめに手を差し出す。
「……俺に?」
こくりと頷くおさげ。
受け取ったのはノートの切れ端らしきもので、開いてみると差出人は谷間女。
『ボタンなおしてあ・げ・る♡』
いかにも女子な丸文字の彼女を見れば、開きすぎな襟をつまんでパタパタさせて。
チラチラ見える紺のレースは露骨に俺を誘っている。