しかくかんけい!


困った顔が、驚きの顔になる。

俺の一言一句でコロコロ変わる表情はまるで百面相のようだ。


それが不思議でたまらなかったし、

それがおもしろくて癖になったし、

それが彼女を、特別な存在にした。



「ハナの“きらい”ってさ、」


ぐっと近寄る。

はっと息を呑む。

じっと視線を絡める。


「“ と く べ つ ” だから」


ぎゅっと、手を握る。

その顔は俯く。

繋がれた場所を、見つめている。


「とく、べつ……」


何を考えているのだろう。

あれほど手に取るようにわかる感情も、鳴いてくれなきゃ聴こえない。


「ねえ、幻滅しないの?」

「え……?」

「写真見たでしょ?今朝」

「…っ!」


B組に入ったとき、そらっちの愕然とした横顔があった。


写真を握り潰した彼は俺に気づいた途端ものすごい形相になって、こちらへ跳びかかってきた。

その後方にちらりと見えたのは、黒板周囲に転がる写真たち。




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