しかくかんけい!
俺の机には一枚だったが、そこには見世物にするには相応しいくらいの枚数があった。
だから、ハナも愛莉も教室に入ったのならばきっと目にしたはず。
「あの写真の意味、わからない?」
「わ、わかるよっ……」
その音量は極小だった。
つらいのかな。かなしいのかな。
「愛莉とホテル行ったくせに、今もこうして他の女とからだを重ねようとしてさ」
「っ……」
気がつけば彼女の後頭部に触れていた。
ふわりと、やさしく、梳かす。
「それに、この前も覗き見したでしょ?あの教室の常連だよ、俺。」
理想と違うでしょ?
オウジサマなんて欺瞞の仮面だよ?
薄っぺらいそれの裏は、ただ欲にまみれた、どうしようもない人間だよ。
「優しい王子様なんて、理想的な人なんて、完璧しょーくんなんて、俺の瞞着に取り憑かれた単細胞のくだらない妄想に過ぎないし」
嗚呼、止まらない。
彼女の澄んだ瞳が、
やわらかい髪が、
あたたかい手が、
俺の本音を、誘発する。