しかくかんけい!



「本当の俺は、こっち」


留め金の外れた仮面は静かに床へ落ちる。


は、と息を呑んで彼女の肩が強張る。

ぐ、と小さな手が圧迫する。



「こんな俺を知っても、幻滅しないの?」


なんで、冷めないの?

なんで、目で追うの?

なんで、その手は、あたたかいの?


「わかんない……っ」


消え入りそうな声は上を向く。

か弱い音は懸命に、息を吐く準備をする。


「俺は、」

「私にもわかんないよっ!!」


俺の声は熱い音に遮られた。


「っ……」


苦しそうに眉をひそめて、悔しそうに下唇を噛み締めて。


俯いて、すぐに上がって、

その口は、鳴く。



「幻滅なんて、できないよ!どうしてっ…どうしてしょーくんは、私の頭から君のこと離れさせてくれないのかわかんない!!」

「ん、?」


おかしな日本語だ。

解読するなら、ハナが俺のこと考えているのは俺のせいだ、といった具合だろうか。



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