しかくかんけい!




……────────『好き』



ドーン、ドドーン……という轟きが、辺り一面に響き渡る。


それは、あつい夏の夜。



花火の叫喚にかき消されそうで消えなかった、“好き”の音。


その音源へ、恐る恐る目をやる。


ハナは目を閉じていた。


次々に紺瑠璃へと羽ばたいてゆく光彩は、スパークとなって飛び散る。

それは手を伸ばせば、いとも簡単に届きそうなところにあったけれど。


ハナは、目を、閉じていた。


もし実際に触れてしまえば、火傷するかもしれないと、思った。



……嗚呼、聞こえてしまった。


この地獄耳を恨んだ。

聞こえたものは純粋すぎて、

綺麗すぎて、潔白すぎて、

俺には不釣り合いな、音色。



きっと彼女は、知らない。

気持ちのない相手とからだを重ねる行為も、偽物の仮面を貼り付けて他人を騙すことも、虚無を誤魔化すために欲に溺れる寂しさも、無縁なんだろうな。


もし俺が、そんな無垢な彼女を、欲しがってしまったら。

汚れてしまう、と思った。


だから。




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