センチメンタル・ジャーニー ~彼を忘れるための一人旅

少し 体を動かしただけで

何だか 気持ちまで スッキリして。


私は パラソルの下で 本を開いた。


昨日の夜の 続きから…


あっという間に 小説の世界に 入り込む心。


昔 読んだときは セシルのことを

奔放で残酷な 女の子だと 思ったけど。


今は セシルの傷や 悲しみが 痛いほど 伝わって。


私は アンヌのことも 好きになっていた。

昔は アンヌに 感情移入できなかったけど。


今なら 少しは アンヌの気持ちが わかる… 


傲慢なほど プライドが高いのは

そうして 自分を維持していたから…

本当は アンヌも 弱くて 脆い女性だった。


最後まで 読み終えたのは

お昼を 少し 過ぎた頃。


私の胸は 大きく 震えていた。


クアラルンプールの 湿った空気。蒸し暑さ…

ビルの間から 差し込む 強い日差し。


すべてが 私の心を 揺さぶって。

平静では いられないくらい…

動かされた心は 自分へと 向かう。


私は 本当に これでいいの?





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