やがて春が来るまでの、僕らの話。
キーンコーンカーンコーン
国語の授業が終わり、お昼を知らせる鐘が鳴る。
お腹はグーグー鳴っていて、すぐにでもお弁当を食べたいくらいに空腹だ。
でも授業中ずっとトイレを我慢していたから、私は一目散にトイレに向かった。
あースッキリしたって、あまり声には出したくないセリフを心の中で呟いたら、その次はもうお弁当と陽菜のことで頭が一杯になる。
「あ、谷さん」
トイレで手を洗っていると、個室から武田さんが出てきた。
「ねぇ、頭大丈夫だった?」
「あ、全然、頑丈なので」
「そっか、よかった」
こんなに気さくな人がクラスにいたなんて。
転校してもうすぐ三ヶ月経つのに、知らなかったな。
「そうだ、よかったらお弁当一緒に食べない?」
「え、」
「私たちいっつも理科室で食べてるの。クラスのバレー部三人で食べてるから、よかったらおいでよ」
嬉しいけど、きっと陽菜が待ってるし、若瀬くんと柏木くんがいるいつもの資料室で食べるのが日課になっているから。
誘ってくれたのは凄く嬉しいんだけど。
「あ、ハナエこんなとこにいたー」
振り向くと、私のお弁当を持ってきてくれた陽菜が立っていた。